しょうがくせいにっき

しょうがくにねんせいのおんなのこです。妹がいますが、妹が欲しいです。

東大前期を満喫するには ―数学編

こんにちは、みやこです。

 

突然ですが、みなさんは東大って知ってますか?

東京大学のことですね。

 

そんな東大には前期課程と呼ばれる1年半のモラトリアム†教養†を学ぶ素晴らしい期間があります。東大生は前期課程で様々な†教養†を身につけることで、後期課程から心置きなく専門に打ち込めるわけですね。

 

ただ、東大の前期課程の履修は

 

複 雑 す ぎ る ! !

 

米倉さんも怒っています。

社会も怒っています。

私も怒っています。

クラムボンは笑っています。

 

さて、そんな前置きはさておき、今回は前期課程制度をフル活用して†教養†を身につけるための持論を適当に書いていきたいと思います。

私は執筆時点で2年生なので、今さらどうすることもできないのですが、未来あるみなさんの勉強の役に立てば幸いです。

 

※注意

当ブログの記事は大学やその関連団体、及び特定の個人を批判する内容ではありません。また、ここでの意見表明はどの団体、組織の意見も代表するものではありません。オタクが道端に座って酒を飲みながら日本の政治に文句言ってるようなものです。

 

 

筆者のプロフィール

みやこ

  • キラキラの小学2年生女子
  • 理転志望の文科二類2年
  • 履修制度や授業について調べてたらやたら詳しくなっていた。ちなみにそのせいで「履修と進振りの人」のレッテルを貼られ、友達が減った
  • 好きな授業はAセメの基礎統計、嫌いな授業はSセメの基礎統計

 

 

前期課程で数学!?

前期課程において数学を扱う講義は大きく分けて4種類あります。

  1. 理系の必修の「数理科学」カテゴリ
  2. 文系の選択必修の「社会科学」カテゴリ
  3. 総合科目(主にF系列が数理・情報を扱う)
  4. 主題科目(数学科開講講義が相当数ある)

 

これらの多くを履修することで、数学に関してはかなりの分野を学ぶことができます。また、工学部・理学部に進学したい場合には2Aセメスターの持ち出しで扱う数学を含めれば数学の面で不自由することはないでしょう。

 

ただ、前期課程の数学の講義は多すぎる割に、曜限に都合がつきにくいです。そのため、1Sから(遅くとも1Aから)計画的に履修計画を立てないと筆者のように2Sで後悔することになります。線形代数やらせろよボケ

 

ここからは分野ごとに前期課程の講義を紹介し、最後に履修スケジュールを提案することにします。もちろん全てを履修する必要はありませんが、講義紹介欄に事前に履修しておくべき講義があれば記述するため、それらをもとに自分なりのスケジュールを立ててみてください。

 

1. 理系の必修「数理科学」

理系は必修として、微分積分学線形代数学を学びます。2Sで学ぶ内容の多くについて基礎となる内容のため、怠らずに勉強すること。進振りにおいても大きなウェイトを占めます。

 

数理科学基礎・数理科学基礎演習(S1ターム)

キーワード:微積, 線形

前提履修:なし

内容:高校数学と大学数学をつなぐ内容。論理・集合といった「道具」の確認から始まり、主に微積分と線形代数の基礎を簡単に扱う。

 

微分積分学①/②/演習(S2ターム, Aセメスター)

キーワード:微積

前提履修:数理科学基礎

内容:大学生が†教養†として扱うべき内容の微積分について扱う。特に言うことはないので、とりあえず証明と計算を頑張ろう。理科生ならなんとかなるはず!

 

線形代数学①/②/演習(S2ターム, Aセメスター)

キーワード:線形

前提履修:数理科学基礎

内容:大学生が†教養†として扱うべき内容の線形代数について扱う。理科生がSセメに行列式の話をし、Aセメに対角化の話をしているのは大体こいつのせい。頑張れ、落としたらもう1年だ。

 

 

2. 文系の選択必修「社会科学」

社会科学という名目で数学をバリバリやる授業。「文科生に数学をやらせるなんて!」と思われる人もいると思うが、文二生でも回避することは可能であり、嫌ならばやらなければいい。ちなみに教員をしっかりと選べばレベルに合ったとても良い講義が行われるため、数学に未練があれば強く推奨する。2022年度の始めには「数理科学概論を取れば数学Ⅰ/Ⅱは取らなくて良い」などといった悪質なデマが横行したが、全くの嘘である。嘘を嘘と見抜ける知識を身につけられていないのであれば、変なことはせずに王道を征こう。

 

数学Ⅰ

キーワード:微積

前提履修:なし

内容:数Ⅲをやっていない前提で丁寧に微積をやってくれる。扱う範囲としては極限・1変数の微積・1変数の積分となっている。ただ、丁寧すぎて13回中6回くらいε-δ論法について扱っていることもざらにある。文科生がボルツァーノ・ワイヤシュトラスの定理からワイヤシュトラスの定理を自力で導出できるようになることに何の意味が…と思ったのは内緒。逆評定に頼ることがあまり推奨できない講義の筆頭。大学では教員が優しいかどうかは君の学力にはあまり結びつかないぞ。

 

数学Ⅱ

キーワード:線形

前提履修:なし

内容:ベクトルを知っていれば大丈夫!くらいの温度感で丁寧に線形をやってくれる。行列計算ができるようになることが目標であり、扱う範囲としては行列演算・連立一次方程式の解法・行列式となっている。自力で線形をやる人間以外はみなこの授業の履修を推奨する。Ⅱと言っているが、Ⅰとの関連は全くなく、むしろⅡの方が慣れれば簡単なのではないだろうか。筆者は1AでS先生の数学Ⅱを履修したが、非常にわかりやすく、そこから数学を勉強するようになった。個人的にオススメです。

 

 

3. 総合科目

総合科目とは要するに何でもアリということである。ここでは雑な分け方ではあるが、「統計」と「解析」という分け方をしてその2分野を扱う。また、文科生用の「数理科学概論」も別枠として紹介しよう(筆者こう見えて文科生だし)。図形科学や数理工学に興味がある場合は自分でシラバスを見てみるか、もしこの記事の続編が出たらそちらを参照されたし。

 

3-1. 統計

統計といえば基礎統計である。何の考えもなしに1Sで基礎統計を取り、苦しんだ人も多いのではないだろうか。前期課程で統計を学ぶ場合、必ずしも1Sで基礎統計を履修するはないということを前書きとして強く言っておく。

 

基礎統計(Sセメ・Aセメ)

キーワード:統計学基礎

前提履修:なし

統計学の基礎を広く扱う。そこで扱う内容は数式を多く含み、いかにも俗に言う「理系向けの統計」といった内容である。ただちょっと待って欲しい。実は基礎統計と一口に言っても、2種類あるのである。

具体的には例年Aセメに開講されるS先生の基礎統計だけは毛色が違う。他の授業が基本的に倉田先生らが書いた『入門統計解析』に沿った授業(中には教科書をなぞるだけという評判の先生も…)である一方で、S先生の基礎統計は統計の歴史を導入として、統計を使う意義、それにより何が得られるのか、なぜこのような計算を行うのかといった、統計学の意味について学ぶことができる。もしSセメの『入門統計解析』的基礎統計に抵抗がある場合はぜひこちらを考えてみて欲しい。統計学が面白いと思えるはずだ。また、当然ながら文科生にもおすすめできる。

もちろんSセメ基礎統計の方には幅広い内容を扱い、数式的理解がしやすいという利点がある。あくまで特性が違いという話であることを理解していただきたい。

 

統計分析(Aセメ)

キーワード:統計分析

前提履修:基礎統計

基礎統計で扱った内容を既知として、回帰分析を始めとした統計分析の手法について学ぶ。先述した『入門統計解析』的基礎統計が肌に合った場合は履修を考えてみてはいかがだろうか。それなりに評判も良い。

 

統計データ解析Ⅰ(Aセメ)

キーワード:統計学基礎, R

前提履修:なし

前書きで統計を学ぶ選択肢はSセメの基礎統計だけではないと書いた。1つは先ほどのS先生の基礎統計だが、もう1つはこの統計データ解析Ⅰである。この講義はRソフトウェアを用いて実際にデータを分析しながら統計学の基礎を学ぶ。プログラミングにアレルギーがあれば厳しいと感じるかもしれないが、そうでなければむしろ実践をまじえて学ぶことができる本講義が肌に合う人も多いのではないだろうか。ちなみにこの講義の授業はインターネットで一般公開されているため、良い東大生のみんなはぜひ「統計データ解析」とGoogle先生に打ち込んでみよう!

 

統計データ解析Ⅱ(Sセメ)

キーワード:統計分析, R

前提履修:なし(基礎統計か統計データ解析Ⅰを受講しているとより良い)

統計データ解析が統計学の基礎的な手法を扱うのに対して、こちらでは多変量データの解析を行う。具体的には重回帰分析・主成分分析・判別分析を扱う。ただ、Rソフトウェアの使い方については初めから教えてくれるので、Ⅰを取らなかった君も全然大丈夫!筆者は統計やらずに突っ込んだぞ!統計たのちい!!ちなみにこちらも同様にインターネットに授業が公開されている。東大はすごいねぇ。

 

※追記

この講義を見られるシステムは「UTokyo OCWx」と呼ばれる取り組みの一環であり、他にもいろんな授業が見られるよ!めちゃくちゃ便利だからどんどん布教しよう!!

ocwx.ocw.u-tokyo.ac.jp

 

 

3-2. 解析

解析の授業について書く。全体的に言うことはないので、扱う内容だけ簡潔に述べておく。楽しそうなものを探してみて欲しい。

 

解析学基礎(Sセメ)

キーワード:解析

前提履修:なし

解析学の基礎となる概念を扱う。解析学の基礎となる概念を扱うらしいです。解析学の基礎となる概念について学びたい人は、解析学の基礎となる概念を学んでください。1年で解析の基礎科目を履修するならこれかと思われる。

 

ベクトル解析(2Sセメ)

キーワード:解析

前提履修:微分積分学, 線形代数

2Sセメ数学総合科目三種の神器の1つ目。たぶんこれが八咫の鏡。ベクトル解析について割としっかり扱う。

 

常微分方程式(2Sセメ)

キーワード:微積

前提履修:微分積分学, 線形代数

2Sセメ数学総合科目三種の神器の2つ目。たぶんこれが八尺瓊の勾玉。常微分方程式について結構しっかり扱う。通称「つねび」。

 

微分積分学続論(2Sセメ)

キーワード:微積

前提履修:微分積分学, 線形代数

2Sセメ数学総合科目三種の神器の3つ目。たぶんこれが草薙の剛。多変数の微積分について扱う。数理科学基礎や微分積分学でも多変数の微積分を軽くは扱ったと思うが、続論というだけのことはある。

 

 

3-3. 数理科学概論(文科生)

理系になりたい文科生お助け講義。これのⅠとⅡをやれば、理科生と遜色ない(実際はあるが)数学力を身につけることができるぞ!

 

数理科学概論Ⅰ(Sセメ・Aセメ)

キーワード:微積

前提履修:数学Ⅰ

1変数の微積分を軽く復習し、2変数の微積分を扱う。進度が爆速であり、1年生がよく死んでいる。シラバスに数学Ⅰより進んだ内容を扱うって書いてあるんだから、数学Ⅰ受けてから来ようね!ちなみに内容としては相当楽しい。知り合いによると某KO大学の数学の1年でやる内容以上を半期でやっているらしい。俺、また何かやっちゃいました?

 

数理科学概論Ⅱ(Aセメ)

キーワード:線形

前提履修:数学Ⅱ

数学Ⅱでやった内容を既習として、数学Ⅱで扱っていない内容を理科生と同じくらいの水準までやる。内容は面白そうであるが、数学Ⅱの内容を前提とするにも関わらずAセメにしか開講されないことに問題がある。つまり1Sで数学Ⅱを履修してから、1Aでこの授業を取る必要があるわけだ。何も考えずに1Sで数学Ⅰを取り、1Aで数学Ⅱを取った筆者のような情弱人間はこの講義を取る権利すら与えられずに前期課程を終えていく。これに気づけるやついないだろ。気を付けよう。

 

数理科学概論Ⅲ(Sセメ)

キーワード:数学

前提履修:なし

毎年内容が違うが、「数学!」という感じの内容を扱う。ちなみに2022年度は複素数について扱っていた。なぜ理科生向けの授業には複素を扱う講義がないのに、文科生向けにはあるのだろうか。バグだったら教えてください。

 

 

主題科目

主題科目は自由に選んでいただきたい。それぞれを解説できるほど詳しくないため、講義名をあげるのみにするが、「じっくり学ぶ数学Ⅰ」「じっくり学ぶ数学Ⅱ」「多変数関数の微分の3つの講義は1年生しか履修できないため注意されたし。

 

2022年Sセメと2021年Aセメを参考にすると、

  • じっくり学ぶ数学Ⅰ
  • じっくり学ぶ数学Ⅱ
  • 数理科学の研究フロンティア
  • 現代の数学
  • 集合論入門

といった講義があった。

 

 

履修モデル

以上を踏まえて、「完璧数学人(ぱーふぇくとますまてぃくすんちゅ)」を目指したければ、以下のような履修が望ましいのではないだろうか。実際はここから必要に応じて授業を減らしてみて欲しい。

 

理科生

1Sセメスター

 

1Aセメスター
  • 微分積分学②/演習
  • 線形代数学②/演習
  • じっくり学ぶ数学Ⅰ
  • 基礎統計
  • 統計データ解析Ⅰ
  • (統計分析)

 

2Sセメスター

 

文科生

1Sセメスター
  • 数学Ⅱ
  • じっくり学ぶ数学Ⅰ

 

1Aセメスター
  • 数学Ⅰ
  • 数理科学概論Ⅱ
  • 基礎統計
  • 統計データ解析Ⅰ
  • じっくり学ぶ数学Ⅱ

 

2Sセメスター
  • 数理科学概論Ⅰ
  • 数理科学概論Ⅲ
  • 統計データ解析Ⅱ
  • (主題科目たち)

 

 

最後に

いかがでしたか?

結局履修のことを考えても、筆者の学習環境は一切良くなりませんでした!

色々書いたけど、結局楽しく生きてればなんとかなるので、悩むくらいなら自己解決しよう!